マイバイク日記

元プロロード選手 西薗 良太 さん

2014.04.28

1987年、鹿児島県生まれ。
東京大学工学部に進学し、同大自転車競技部に所属。理論的なトレーニングを取り入れることによって、インカレ個人ロード、個人TTを制する。
卒業後の2011年にはシマノレーシングへ加入。翌2012年にはブリヂストン・アンカーへ移籍。全日本TT選手権のタイトルを獲得し、ツール・ド・北海道では総合2位となる。2013年にはUCIプロコンチネンタルチームであるチャンピオンシステムへと移籍。海外レースを多数経験し、ツアー・オブ・ジャパンでは、その年の日本人最高位である総合6位でフィニッシュ。チーム解散にともない、プロ選手を引退。現在はフルタイムワーカーのホビーレーサーとして自転車競技を楽しんでいる。

Q めずらしいフレームですね

「クアリス」というハンドメイドチタンフレームのブランドです。僕はここのアンバサダーをやっているんです。日本の自転車工房「レベル」のビルダー松田さんの元で働いていた、西川さんというビルダーさんがいます。彼はレベルから、アメリカのチタンブランド「セブン」のビルダーになった。
その後、ボストンの自宅に自身のブランド「クアリス」を構えたんです。今は、セブンのビルダーと兼任しています。

Q フレームへのこだわりは?

僕の好みとして余計な動きをするフレームが苦手なんです。
でも、金属のフレームはどうしても剛性が不足する、そこを可能な限り剛性を出して欲しいというオーダーを出しました。ヘッドとBB周りが余計な動きをしないフレームがいい。ウィップとかはいらない。普通に動いて欲しいんです。
今までのメタルフレームに感じた不満をこのバイクからは感じないですよ。自分がほしい性能を持ち、かつ趣味性が高いというのも魅力です。アノダイズドのワンポイントがはいっていたり。気に入ってます。

Q フルチタンフレームなんですか?

そうですね、チューブは325チタン、64チタンの、それもいろいろなブランドのチューブを適材適所に、組み合わせて作られています。今まで、さんざん硬いカーボンフレームに乗ってきましたが、それと比べても劣らないほどの剛性を持っているフレームです。
ただ、カーボンフレームと比べると、重量的にはハンデがある。200gくらい。
でもアマチュアレーサーになった今は、上りでそこまでシビアになることはないので、ハンデだとは思わないです。取り扱いもカーボンに比べて気を遣わなくていい。年によって見た目が古くならないのも魅力ですね。

ヘッドチューブもインセットセブンというクリスキングの独自規格、上下異径のヘッドパーツを使っています。ヘッド剛性も十分あるので、ハンドリングに不満はないですね、しっかりしている。フォークはエンヴィ製で、見た目の太さからもわかるとおり、すごく剛性があって問題ないです。

エンドも大胆な肉抜きが入っています。
リヤエンドの精度が高いのも魅力。ホイールの着脱がすごく気持ちいい! カーボンフレームでこの精度のものはなかなかないですよ。

Q ホイールの前後リムハイトが違うのは?

適当です(笑)。アルミリムが好きなので。このホイールを使っています。

Q 学生のころは、フロントだけディープリムを使っていたりもしていましたよね?

フロントのほうが空力を改善する効果が大きいので。リヤってあんまり効かない。と考えています。

Q スマートエンヴィのように、前後でリムハイトを変えているメーカーもありますよね?

あれはまた独自のロジックがあるそうです。エンジニアと話をしました。

Q コンポへのこだわりは?

適当ですね(笑)。きちっとしたフレームに、ちゃんと動くコンポが付いていれば問題ないです。

Q トムソンのポストを使っている理由は?

セットバック量が出ているということと、剛性、精度が高いのが魅力です。パーツの精度は大事です。

Q ハンドルの好みは?

どんどんシャロー気味なハンドルが好きになりました。昔はアナトミックシャローで曲がりの深いハンドルが好きでしたが、どんどん浅くなりました。
上半身の筋肉がしっかり発達して、ハンドルを押さえられるようになれば、ドロップが深くなくても、バイクをしっかり安定させられます。

Q タイヤのこだわりは?

最近はちょっと太めが好きです。流行の24C、25Cはいいと思います。ロードレースであえて細いタイヤを使うメリットはないですね。
TTであれば、細いタイヤを使ってもいいと思います。国内のレースなら、路面状況もいいので。

Q プロ選手になってパーツへの考え方に変化はありましたか?

プロをやっていると、どんどんこだわりがなくなっていきました(笑)。それよりは自分自身が強くなってくる事が大切だし、その方が早いとおもいます。体がどんどん安定してくると、1mmくらいの変化はそこそこ大丈夫になってきます。
プロの時って、5台とかバイクを渡されるんです。そのすべてを完璧に同じポジションにできない。特にサドルは自由度が高い。角度の影響とかもあるので、
でも人間の体は、キャパシティーが広いのでそれに対応できてしまう。逆に選手にはそのキャパシティーの大きさが必要だと思います。海外の選手はそれくらいの誤差は平気で走っていますね。

text&photo●ナカジ
自転車のカット

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